公害

環境基本法(第2条第3項)により、公害とは、

①事業活動その他の人の活動に伴って生ずる。
②相当範囲にわたる。
大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及ぴ悪臭による。
④人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること

と定義している。
③に列挙された7種は、典型7公害と呼ばれている。

目次

四大公害病

戦後、日本の高度経済成長期 (1950-1960年代)に、各地で産業公害が多発し住民に被害を及ぽした。このうち住民への被害が大きかった4つの公害病を指す。

水俣病(メチル水銀化合物)
新潟水俣病(同左)
イタイイタイ病(カドミウム)
四日市ぜんそく(コンビナート排ガスNOx・SOx)

の4つである。

公害対策基本法

1967年制定、日本の四大公害病の発生を受けて制定された。公害対策に関する日本の基本法である。
1967年8月3日公布、同日施行。本法律のもとで、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭の7つを公害と規定した。
1993年11月19日、環墳基本法施行に伴い、統合、廃止された。

大気汚染防止法

1968年制定、工場及ぴ事業場における事業活動に伴う、ばい煙、化合物(VOC)及ぴ粉じんの排出を規制して有害大揮発性気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに関わる許容限度を定めることにより国民の健康と生活環境を図ることを目的とした法律。

自動車NOx・PM法

1992年制定、正式名を「自動車か酸化物及ぴ粒子状物質の特定地域における総量の削減などに関する特別措置法」という。
大気環境基準の確保が困難な地域において、自動車から排出される窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の総量を削減し大気環境の改善を図ることを目的とした法律。

光化学オキシダント

自動車や工場・事業場等から排出される大気中の窒素酸化物、揮発性有機化合物等が、太陽からの紫外線を受けて光化学反応を起こし作り出される二次汚染物質の総称。光化学オキシダント濃度が高く、もやがかかったような状態を光化学スモッグという。

揮発性有慢化合物(VOC: Volatile Organic Compounds)

印刷インキ、ガソリン及ぴ溶剤等に含まれるトルエン、キシレン等の揮発性を有する有機化合物の総称をいう。
SPM (浮遊粒子状物質)及ぴ光化学オキシダント生成の原因物質の1つである。

微小粒子状物質(PM2.5)

大気中に浮遊する粒子状の物質SPM(浮遊粒子状物質:粒径が10μm以下)のうち、粒径が2.5μm以下の微小粒子状物質を指す。非常に微小なため肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系への影響が心配されている。

水質汚濁防止法

1970年制定、公共用水域及び地下水の水質の汚濁を防止し、国民の健康保護と生活環境の保全を図るため、事業場からの排出水の規制•生活排水対策の推進・有害物質の地下浸透規制等が盛り込まれた法律。
また同法では、閉鎖性水域に対して、汚濁負荷量を全体的に削減しようとする水質総量規制が導入されている。

土壌汚染対策法

2002年制定、土壌汚染対策の実施を図り、国民の健康保護を目的として、土壌のの特定有害物質による汚染状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めた法律。
2009年の改正により、一定規模以上の土地の形質変更時の調査の実施、自主的な調査の活用、汚染土壌の適正な処理の義務付けなどが規定された。

原位置浄化

土壌汚染対策手法の一種で、汚染土壌から、その場所(原位置)にある状態で袖出または分解、その他の方法により、対象となる特定有害物質を基準以下まで除去する対策手法。

バイオレメディエーション

微生物等の働きを利用して汚染物質を分解等することによって、土壌地下水等の環境汚染の浄化を図る技術をいう。原位置浄化にも活用される。

感覚公害(騒音、振動、悪臭)

人の感覚を剌激して、不快感やうるささとして受け止められる公害(環境汚染)を感覚公害と総称する。
具体的には、騒音、振動、悪臭がある。日常生活と密着した公害であることから、典型7公害に関する苦情の1/3以上を占めるといわれている。

アスべスト問題

アスベスト(石綿)は天然に存在する繊維状の鉱物で、耐熱性、絶緑性、保温性等多くの長所があり、建築資材を中心に様々な産業で使用されてきた。
しかし、吸引すると中皮腫や肺癌等の原因になることも指摘され、2004年には全面的に使用禁止となった。
近年、アスベストによる健康被害リスクが明らかとなり、アスべスト問題として取り上げられている。

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